行桁固定機能

印字したい行数や文字数を指定するだけで、現在の印字領域にその行数や文字数で印字できるように、改行ピッチおよび文字ピッチを自動的に設定することができます。この機能を行桁固定機能といいます。
行桁固定機能を使用すると、制御命令で現在設定されている改行ピッチや文字ピッチの調整量などが無効になり、行桁固定機能で計算された改行ピッチおよび文字ピッチが有効になります。
ここでの文字ピッチとは、パイカ(10cpi)などの文字固有のピッチではなく、文字と文字の印字間隔を指します。したがって、実際には文字ピッチ調整量が自動的に設定されることになります。
現在の印字領域とは、メニューや制御命令で設定されているページフォーマット、上余白、ボトム位置(ページ長/ミシン目スキップ)、および左/右マージンで設定されている領域のことです。
アプリケーションソフトウェアを使用する場合は、行桁固定機能を無効にしてください。行桁固定機能を有効にして印字すると、アプリケーションソフトウェア側で設定した改行ピッチや文字ピッチなどがすべて無効になります。

行数/文字数(漢字比率)の設定

文字ピッチや改行ピッチを決定するための文字数や行数を、メニューの「行桁」の各項目で設定します。
行数
行数は、印字領域のTOF位置からボトム位置までに印字する行数を、メニューの「行数」で設定します(10行~400行)。
指定した行数が印字できるように改行ピッチが計算されます。改行ピッチは、1バイトコード文字/2バイトコード文字に関係なく一定です。
ただし、改行ピッチは先頭行(TOF行)からボトム位置までを指定された行数で除算して余りを切り捨てるため、誤差が出る場合があります。

最大誤差
=構成された改行ピッチ-最小垂直位置移動単位(1/180インチ)

文字数
文字数は、印字領域の右端から左端までに印字する1バイトコード文字(ANK文字)の文字数を、メニューの「桁数」で設定します(10文字~400文字)。
文字ピッチはANK文字が基準となり、指定した文字数が印字できるように文字ピッチが計算されます。漢字の文字ピッチは漢字比率の指定によって決定されます。
文字ピッチ(文字ピッチ調整量)の計算は、左マージン位置から右マージン位置までを指定の文字数で除算して余りを切り捨てるため、改行ピッチ同様に誤差が出る場合があります。

最大誤差
=構成された文字ピッチ-最小水平位置移動単位(1/180インチ)

漢字ピッチ
1バイトコード文字(ANK文字)の文字ピッチに対する2バイトコード文字(漢字)の文字ピッチの比率を漢字ピッチといいます。
2バイトコード文字(漢字)の文字ピッチを、1バイトコード文字(ANK文字)の何倍にするかをメニューの「漢字ピッチ」で指定できます。倍率は、等倍、2倍、3/2倍、4/3倍、5/4倍の中から選択します。
なお、漢字を横縮小した場合の文字ピッチは、通常のときの1/2倍になります。

行桁固定機能の実行

メニューで設定した行数、文字数、漢字ピッチをもとに、文字ピッチや改行ピッチを自動設定して印字する場合は、行桁固定機能の切り換えを[有効]にする必要があります。改行ピッチの自動設定と文字ピッチの自動設定はそれぞれ独立して[有効]にすることができます。
改行ピッチの自動設定(行固定機能)
メニューの「行固定機能」を[有効]に設定すると、「行数」で設定した行数をもとに改行ピッチ調整量が自動設定されます。このとき、印字データがある場合は印字と排紙が行われます。
以後、「行固定機能」が[無効]に設定されるまで、改行ピッチを変更する制御命令はすべて無効になります。
なお、「行固定機能」を[無効]に切り換えるとパラメータリセット処理が行われます。
文字ピッチの自動設定(桁固定機能)
メニューの「桁固定機能」を「有効」に設定すると、「桁数」で設定した文字数と「漢字ピッチ」で設定した漢字比率をもとに、文字ピッチ調整量が自動設定されます。このとき、印字データがある場合は印字と排紙が行われます。
以後、「桁固定機能」が「無効」に設定されるまで、文字ピッチを変更する制御命令はすべて無効になります。ただし、OCRフォントを使用して印字する場合は、文字ピッチ10cpiで印字されます。
なお、「桁固定機能」を「無効」に切り換えるとパラメータリセット処理が行われます。
行固定機能および桁固定機能が有効に設定されているときにメニューまたは制御命令によって次の設定が行われた場合、その設定による新しい印字領域での改行ピッチおよび文字ピッチが計算されます。
ページフォーマットの設定
上余白の設定
用紙位置の微調整
印字領域の設定(標準/ワイド領域モード)
行桁固定機能の行数/文字数/漢字比率の設定
右マージン位置の初期値の設定
用紙サイズの設定
ページ長の設定
ミシン目スキップ行数の設定
左/右マージンの設定(制御命令)
リセット処理によって、上記の設定が変更(初期状態)された場合

無効になる制御命令

行固定機能および桁固定機能が有効に設定されているときは、次のESC/Pの制御命令が無効になります。
制御命令による設定項目
行固定機能有効時
桁固定機能有効時
改行ピッチの設定(1/6インチ)
ESC 2
無効
有効
改行ピッチの設定(n/60インチ)
ESC A
無効
有効
改行ピッチの設定(1/8インチ)
ESC 0
無効
有効
改行ピッチの設定(n/180インチ)
ESC 3
無効
有効
文字ピッチの指定(10cpi)
ESC P
有効
無効
文字ピッチの指定(12cpi)
ESC M
有効
無効
文字ピッチの指定(15cpi)
ESC g
有効
無効
プロポーショナルピッチの指定/解除
ESC p
有効
無効
文字の横幅縮小指定
SI
有効
無効
文字の横幅縮小解除
DC2
有効
無効
ANK文字の印字品位の選択
ESC x
有効
無効
ANK文字の印字モードの一括指定
ESC !
有効
無効
漢字の印字モードの一括指定
FS !
有効
無効
ANK文字ピッチの調整
ESC SP
有効
無効
全角漢字ピッチの調整
FS S
有効
無効
半角漢字ピッチの調整
FS T
有効
無効
同様に、次の専用命令も無効になります。
制御命令による設定項目
行固定機能有効時
桁固定機能有効時
漢字の文字ピッチの指定
ESC | H
有効
無効