本プリンターについての注意事項
本プリンターは従来のレーザーショットシリーズと仕様が異なる点があり、操作のしかたや印刷の結果が異なることがあります。以下に、本プリンターと従来シリーズとの違いについて主な注意点を説明します。
従来LIPS IIIシリーズとの違いについて
従来LIPS IIIシリーズとは、LBP-A309GII、A304GII、A304EII、A304E、310、320、320PRO、350、B406GII、B406G、B406EII、B406E、B406S、B406D、A404F、A404GII、A404E、A404、A405Jrです。
フォント
本プリンター内蔵の明朝体・角ゴシック体は「平成」書体を採用しています。従来シリーズとは書体が異なるため文字のデザインや太さなど印字結果が異なります。また、楷書体フォントについても従来シリーズの書体と異なっています。
従来機で使用していたグラフィックセット「J83」を「J90」に改名し、JISX0208-1990で追加された 2 文字(コード7425および7426)を追加しました。
クーリエのスケーラブルフォントや従来のJBM1フォントカード相当など、追加されたフォントがあるためLIPSモードで正確なフォント選択をしていなかった場合、追加されたフォントで印刷されることがあります。
データ処理解像度
従来のシリーズでは 300 dpi / 240 dpiで入力データを処理していましたが、本プリンターでは 1200 dpi / 600 dpiで処理をしています。このため、印刷結果などに細かな違いが出てくる場合があります。LIPS/エミュレーション各モードでの主な注意点は以降の各モードの注意点を参照してください。
描画処理の違い
図形や文字の印刷の描画処理が効率化・統合化などのために変更されており、線のパターンや接続・強調印字など細かな印刷結果やスピードに違いが出ることがあります。
メニュー操作
従来シリーズと環境設定メニューの構造が異なっており、LIPS/エミュレーション共通メニューと各動作モード固有のメニューに分かれています。また、設定したメニュー値は操作のたびに記憶されリセットや電源を切っても引き継がれます。
本プリンターでは複数のエミュレーションの切り替えをサポートしておりLIPSでもエミュレーションでもひとつの印刷単位を「ジョブ」として取り扱います。ひとつの「ジョブ」がタイムアウトやジョブ終了コマンドで終了すると印刷環境などが初期化されます。
インターフェイス関連
従来のシリーズではME-CARD以外のエミュレーションではインターフェイスを切り替えることができませんでしたが、本プリンターではすべてのエミュレーションでインターフェイスを使用して切り替えることができます。
自動インターフェイス切り替えでは従来のシリーズと異なりすべてのインターフェイスからのデータを同時に受信します。
メモリー
従来のシリーズとはメモリー管理の方法が異なっており印字データや登録データで使用可能なメモリー容量が異なります。
オプションのメモリーやフォントなど
従来シリーズのコントロールROMは使用できません。本プリンター専用のオプションをご使用ください。
以下に各モード固有の注意について記載します。
LIPS IIIモード
リセット時などの論理用紙サイズの初期化は、従来シリーズではカセットの用紙サイズにしたがっていましたが、本プリンターでは「
共通セットアップメニュー(給紙グループ)」の「デフォルト用紙サイズ」の大きさに初期化します。これにより複数の印字データが連続したときの処理の効率化を図っています。
従来のシリーズでは文字セット登録時、文字セット補助命令でスケーラブルするかどうかを指定しましたが、本プリンターでは指定に関わらずスケーラブル化して登録します。このため、印刷時に正しいサイズを指定していなかった場合、従来と異なるサイズで印字が行われます。
ファインモードでの注意点
ファインモードでは 600 dpiでデータを処理するためベクタモードの座標範囲が約 5.5 mm 四方から半分の約 2.8 mm 四方になります。
600 dpiで印刷されるため、罫線などの太りかたやパターンなどに微妙な違いが出ることがあります。
スーパーファインモードについて
LIPS IIIモードでは、スーパーファインモード(1200 dpi)での印刷はできません。ファインモード(600 dpi)で印刷されます。
LIPS IIモード
従来シリーズではLIPS IIモードは 240 dpiで処理されていましたが、本プリンターでは 600 dpiで処理します。このため次のような違いが出ることがあります。
塗りつぶしパターンの細かさや線の太さが若干異なります。
書体の違いに加えてスケーラブルフォントを使用することによる印刷結果の違いやスピードの違いがあります。
イメージデータ(写真画像など)や文字登録データなど 240 dpiのドットパターンは 600 dpiに自動的に変換されるため、印刷結果の見た目が異なります。
従来 240 dpiで印字位置を処理していたのに対し、600 dpiで処理するため図形や文字などの印字位置に微妙な違いが出ることがあります。
ベクタモードの座標範囲は「ファインモードでの注意点」を参照してください。
リセット時などの論理用紙サイズの初期化は、従来シリーズではカセットの用紙サイズにしたがっていましたが、本プリンターでは「
共通セットアップメニュー(給紙グループ)」の「デフォルト用紙サイズ」の大きさに初期化します。これにより複数の印字データが連続したときの処理の効率化を図っています。
描画処理の違いにより網掛けを重ねあわせたときに印刷結果が異なることがあります。
スーパーファインモードについて
LIPS IIモードでは、スーパーファインモード(1200 dpi)での印刷はできません。ファインモード(600 dpi)で印刷されます。
内蔵エミュレーション
従来シリーズでは内蔵エミュレーションは 240 dpiで処理されていましたが、本プリンターでは 600 dpiで処理します。このため次のような違いが出ることがあります。
塗りつぶしパターンの細かさや線の太さが若干異なります。
書体の違いに加えてスケーラブルフォントを使用することによる印刷結果の違いやスピードの違いがあります。
イメージデータ(写真画像など)や文字登録データなどのドットパターンは 600 dpiに自動的に変換されるため、印刷結果の見た目が異なります。また、イメージの補正処理の選択はできません。
本プリンターでは印字位置を 600 dpiで処理するため、図形や文字などの印字位置に微妙な違いが出ることがあります。
従来シリーズのPCN-201H/4やPCA-AX/3に搭載されていたキヤノン独自の拡張機能には対応していません。
ジョブタイムアウトやメニュー操作によりエミュレーションのプリンター設定は初期化されます。
描画処理の違いにより修飾文字を重ねたときの見た目が異なる場合があります。
内蔵エミュレーションモードでは、スーパーファインモード(1200 dpi)での印刷はできません。ファインモード(600 dpi)で印刷されます。
従来LIPS4シリーズとの違いについて
|
従来LIPS4シリーズとは、LBP-730、720、830、450、430、740、750、930などです。
|
従来のシリーズとはメモリー管理の方法が異なっており、印字データや登録データで使用可能なメモリー容量が異なります。
オプションのコントロールROMをご利用になる場合、必ず本プリンターに対応のものをお使いください。従来LIPS 4 シリーズにのみ対応しているオプションのコントロールROMは、本プリンターでは使えません。
LIPS IVc搭載のカラーBJとの違い
各給紙元の現在の印字位置が印刷されます。印刷結果で印字位置の調整を行います。詳しくは、「
給紙部ごとに印字位置を調整する」を参照してください。
カラーBJはLIPS IVcのコマンドを 360 dpiで処理しますが、本プリンターは 600 dpiで処理するため印刷結果の見た目が異なることがあります。
カラーBJとは上余白/下余白(非有効印字領域)が異なります。
本プリンターはモノクロのプリンターなので、冗長な色情報が含まれているカラー印刷用のデータは効率的ではありません。一般的にカラー印刷とモノクロ印刷を指定できる場合は、モノクロ印刷を選択することをおすすめします。また、本プリンター専用ドライバーが選択できる場合はそちらを選択してください。
本プリンターの制限事項
LIPSメニューより拡大/縮小を行う場合、LIPS II+モード用ユーザー登録文字セットおよびビットマップフォントGarland PS11/ALP10/ALP15/ALP1125は印字されないことがあります。
薄いグレーパターンで枠内を塗りつぶしたり、文字や線を印字する場合などにグレーパターンが正しく印字されないことがあります。
テキストモードで縦書きに文字を印字する場合、2 バイト和文プロポーショナルフォント(Mincho-Medium-PS.XXX、Gothic-Medium-PS.XXX)は使用できません。文字ピッチが固定しているフォントをお使いください。
印字データや登録データで使用可能なメモリー容量は、プリンターの機種により異なります。
本プリンターでは、印字品質保持のための濃度調節や温度調節、またはエンジン状態監視のために、一時的に印刷が中断されることがあります。
スーパーファインモード(1200 dpi)時の制限事項
処理に必要なメモリー
スーパーファインモード(1200 dpi)に設定されていても、処理に必要なメモリーが不足した結果メモリーエラーが発生することがあります。スーパーファインモードでは、ファインモードに比べて印字データの処理に必要なメモリーが不足しがちなため、次のようなメモリーエラーが発生しやすくなります。
例:
|
「ダウンロードメモリーが足りません。」「システムメモリーが足りません。」
|
|
「メモリーが足りません。」「ワークメモリーが足りません。」「指定した解像度では印刷できません。」
|
無視される設定項目
「階調処理」の設定は無視されます。
「ドラフトモード」の設定は無視されます。
LIPS II、LIPS III、LIPS4、エミュレーションモードでの使用
LIPS II、LIPS III、LIPS4、エミュレーションモードでは、スーパーファインモード(1200 dpi)での印刷はできません。ファインモード(600 dpi)で印刷されます。
ESC/P準拠プリンターとの違い
ESC/Pエミュレーションモードでは、ESC/P対応アプリケーションソフトによる印刷ができますが、ESC/P準拠プリンターとは異なる点があります。印刷にあたっては次の点にご注意ください。
解像度の違いについて
ESC/P準拠プリンターの解像度 180 dpiに対し、本プリンターは解像度 600 dpiで、各ページフォーマット毎の縮小率によってデータを変換します。
これによって、印刷結果がESC/P準拠プリンターと異なることがあります。
イメージデータ
解像度/縮小率によってドットパターンが変換されるため、線の太さやグラフィックパターンが異なって見えることがあります。
登録文字
24 × 24 ドット構成の外字は、8 ポイント相当、32 × 32 ドット構成の外字は 10 ポイント相当のドット構成に変換されるため、印字したときに文字パターンが変化したように見えることがあります。ダウンロード文字セットも同様にドット構成が変換されます。
印字間隔など
解像度/縮小率によって印字間隔が変換されるため、半端な値によって印字にずれを生じることがあります。
右マージン
文字が右マージンをわずか(1 ドット未満)でも超える場合は、改行します。
文字パターンの違いについて
文字サイズ
次のポイントで文字が印字されるため、ESC/P 準拠プリンターより若干小さめに見えることがあります。
「実寸縦」、「実寸横」、「10インチ→A4縦」: 10 ポイント
「15インチ→A4横」、「B4→A4縦」、「B4→A4横」: 8 ポイント
特に縮小モードでは、ページフォーマットの縮小率よりも小さな文字サイズになります。また、ローマン文字では英数のみ文字幅が細めになります。
フォントデザイン
ESC/P準拠プリンターとはフォントのデザインが異なります。このため、特殊文字などの字形やANK/漢字のバランスが若干異なって見えるようになります。
2 バイトコードの未定義領域
2 バイトコードの中で、ESC/Pでは未定義の領域に本プリンター専用の文字パターンが割り当てられている部分があります。このため、この部分のコードを印字すると本プリンター特有のパターンが印字されます。
その他の制限
登録文字数とメモリーオーバー
文字の登録を行っているときなどにメモリーが不足すると、「ダウンロードメモリーが足りません。」のメッセージが表示されます。
登録文字数を増やしたい場合は、次のような方法で空きメモリーを増やして再度印刷してください。
ハードリセットをするか、プリンターの電源を入れなおす
白紙の排出
ESC/Pエミュレーションモードでは、ページ内に印字データがないと排紙を行いません。
ESC/Pスーパー
ESC/PエミュレーションモードはESC/P24-J84仕様にのみ対応しているため、ESC/Pスーパーのプリンター設定では正しく印刷されません。